株主優待を目当てに株を買う人は多いが、「長期保有」について気にしているだろうか。
株主優待には、ある程度の保有期間がないと受け取れないものや、長期に保有すれば、優待内容がグレードアップする(段階的にグレードアップすることもある)、というケースがある。このとき問題になるのが、長期保有の条件だ。
この条件を満たさなければ、(自分は長期に保有しているつもりでも)長期保有と見なされず、もらえると思っていたものがもらえなくなったりする。このときのがっかり感は、非常に大きい。
長期保有で手厚くなることが
株主優待には、保有期間で優待内容が変わる、ということがある。
たとえば、1)ある程度の期間(例:1年間)継続して保有していないと、優待を受け取ることができない、2)保有期間が長くなれば、期間の長さに応じて優待内容がグレードアップする、というケースがある。また、1と2をミックスしたケースもある。
このことをよく理解しておかないと、実質的に「損をする」ということがある。

長期保有優遇制度を採用する会社は増えているよ。
例えば、KDDI、グンゼの場合は
たとえば、KDDI(9433)の場合は、
100株+5年以内=3,000円相当
100株+5年以上=5,000円相当
になる。
グンゼ(3002)の場合は、
100株+3年未満=2,000円相当
100株+3年以上5年未満=3,000円相当
100株+5年以上=4,000円相当
となっている。
問題は「長期保有」の条件だ
KDDIの場合だが、基準日は「3月31日」、「9月30日」になる。
※権利確定日のほかに、基準日が設定されていることがあるので注意する。
1)〇:3月以前に株を購入した+4月に全株売却した+8月に再度購入した
2)×:売買は1と同じ+8月の再購入時に「氏名・住所 or 証券口座」を変更した
※株主番号が変更になるため「×」
3)×:3月以前に株を購入した+4月に全株売却した+12月に再度購入した
※基準日(9月30日)に保有していないので「×」
KDDIの場合は、基準日の間に全株売却しても、基準日に保有していれば「〇」のようだ。

基準日に保有していれば、長期保有として認められるようだ。ただし、最新の情報は自分で確認する必要があるよ。
グンゼの場合は
グンゼの場合は、基準日が「9月末日」である。
グンゼの場合は、(基準日の後に)すべて売却し、(次の基準日の前に)株式を購入しても継続保有にならない、とのことだ。ゆえに、継続して基準日に株を保有していたとしても、どこかのタイミングで持ち株をすべて売却したことがあれば、継続期間は途切れてしまうのだ。
これは、「株主番号」が変わってしまうためだ。
株主番号が変わるとリセットに?
株主番号が変わると、継続保有期間がリセットされる恐れがある。
株主番号が変わるケースだが、1)氏名・住所が変更になる場合、2)証券会社を変更する場合、3)すべて売却する場合(買い戻しても株主番号が変わる)、4)貸株サービスを利用する場合、
になる。
株主番号は、「議決権行使書」、「配当金計算書」などに記載されている。

株主番号は証券会社に問い合わせても(管理していないので)教えてくれないよ。株主番号は、信託銀行(銘柄により異なる)が管理しているんだ。
単元未満株の保有期間はどうなる
単元未満株の保有期間は、株主優待の「保有期間」に加算されるのだろうか?
もし、加算されるのであれば、早めに少しでも買っておけばいい、ということになる。
そこで、ある会社のIRに問い合わせてみたのだが、単元未満株の保有期間は、加算されないそうだ。つまり、保有期間をかせぐために単元未満株を買っても意味がない、ということになる。
会社により違う可能性はあるが、単元株から保有期間のカウントが始まる、とした方がいい。

単元未満株の保有期間は、優待の保有期間とは無関係になるんだ。
維持するためにどうすれば?
長期保有期間を維持するために、どうすればいいのか?
1)基準日に単元以上の株を保有する、2)基本的に全株売却しない、3)貸株サービスに注意する(基準日に株を貸し出さない、常に全株を貸し出すようなことはしない)、ということになる。
貸株は曲者で、注意した方がいい。
わたしのおすすめは、基準日や権利確定日に関係なく、常に単元株数を「貸し出さない」にしておく、というものだ。そうすれば、長期保有期間がリセットされる…という残念な事態を防ぐことができるだろう。
※1株だけ「貸し出さない」にする方法には、リセットがかかるリスクがある。
余談になるが、ある証券会社では、貸株サービスを申し込んだとき、すべての保有銘柄が一度(強制的に)貸株になる、という仕様がある。この際、長期保有の継続期間が途切れる恐れがある。グンゼの場合であれば、5年以上継続して保有していたのに、(数分のことで)それがリセットされる…ということになると、泣くに泣けなくなってしまう。
まとめ
今回は、株主優待の長期保有の条件について書いた。
自分では長期保有をしているつもりでも、そうなっていない場合があるので注意したい。
わたしのおすすめを整理すると、
1)基準日や権利確定日に関係なく、全株売るようなことはしない(単元株以上は常に保有しておく)、2)貸株サービスを利用する場合は、常に単元株以上を「貸し出さない」にしておく、ということになる。
※「優待優先」にしているから大丈夫、とはならない。
そうすれば、長期保有の条件を満たし、保有期間がリセットされる…ということはないだろう。小賢しく立ち回ろうとすると、逆に足元をすくわれる…ということがあるので注意したい。
今回の記事:「株主優待:長期保有の条件を満たすには」