金融相場は終わりました

金融相場がいつまで続くのか?という素朴な疑問がある。

金融相場が続くのであれば上目線を維持すればいいが、そうでなければ目線を変える必要がある。

この相場はまだ続く、たとえ「金融相場」が終わっても、「業績相場」に上手くバトンが渡るので、株価の上昇基調は変わらない…とする強気の意見もあるが、わたしは違う意見を持っている。

米国はともかく、日本の金融相場は終わっており、相場目線を変える必要ありと考える。

金融相場とは?

金融相場とは、「金余りが全体の株価を押し上げる相場」のことである。

ゆえに、株価が企業業績とは無関係になったり、逆相関の関係になったりする。

いわゆる「不景気の株高」と呼ばれる状態になるのだ。金融相場の特徴的な動きのひとつとして、PER(株価÷EPS)が上昇する、というものがある。分子の株価が上昇し、分母のEPS(一株当たりの利益)が減少するのだから、PERがグンと上がるのは極めて当たり前の話なのだ。

こんなときに、業績が悪いからと<売り>で入ると、見事に焼かれることになる。

今回の金融相場でも、「こんなPERはおかしい!」として売ったが、思い通りに下がらず焼かれた…という投資家がいるはずだ。その種の売りは、燃焼促進剤になり上げのエネルギーになるんだ。

金融相場は終わったのか

識者がどう見ているのか、署名入りの記事をざっと調べてみた。

その結論は、おおむね「2021年に金融相場から業績相場に移行するだろう」というものだ。

多くは米国の話をしていて、移行の正確な時期がはっきりしないのだが、ある識者は「早くても年の後半になるだろう」と予想している。4月の時点では、まだ<時期尚早>というのがコンセンサスのようだ。

だが、わたしは日本の金融相場は、一足先に終わったと考える。



PERのトレンドが転換

その根拠のひとつが、予想PERのトレンドが転換したことだ。

TOPIX: 2020.10.14-2021.4.30

これは、東証一部全体の予想PERをベースにしたテクニカルだ。

すでに、短期MAが中長期MAを下抜き、逆パーフェクトオーダーになっていることがわかる。

このような状態になると、わたしは「金融相場は終わった」と考える。

緑の線が黒の線を下抜きしたあたりから相場の転換を警戒すべきで、その後の株価の上昇は余熱による上昇と解するべきだろう。そのときは、多くのテクニカルで<ダイバージェンス>が起こっていたと記憶している。

では、(金融相場が終わったとすれば)今後の株価の動きはどうなるのだろうか?

少し前に、日銀がETFの買い入れルールを変更した、と話題になったが、PERが正常化に向かうフェーズに入ったら、日銀がテーパリングに舵を切るのは当然のことだよ。

株価は調整する

株価は、トレンドが変わり調整モードに入るだろう。

もっと言えば、下落基調がしばらく続く…という可能性が大きい。

金融相場が終われば、業績相場に移行するが、そのとき何が起きるのか?端的にいえば、高くなったPERの訂正である。この段階でようやく、業績と比べて高すぎるPERの訂正が始まる、ということになるのだ。



PERは、上で述べたように「株価÷EPS」で計算することができる。

PERが下がるということは、1)株価が下がる、2)EPSが上がる、3)1と2の両方が起こる、のどれかになる。株価が横ばいでEPSだけ上がる…というシナリオもなくはないが、EPSが高くなりすぎているので、3のシナリオが有力だ。

ゆえに、「PERが適正な水準に戻るまで、株価は調整する」と考えた方がいい。

特に、PERが高くなりすぎている銘柄には、大きな下落リスクがある。これまでは、決算が少しぐらい悪くても買われたのだから、これからは、決算が良くても売られる、ということがあり得るんだ。

まとめ

わたしは、現時点で日本の金融相場は終わっている、と考える。

ひと相場終わったとする根拠のひとつは、予想PERのトレンドが転換したことだ。

上図で示したとおり、短期MAが中長期MAを下抜き、逆パーフェクトオーダーになっていることから、「金融相場は終わった」と考える。その結果、株価はこれまでの上昇基調から下落基調に変化する、と考える。

※日経平均株価の月足も、3か月連続で上髭を伸ばし、そうとう危うい感じになっている。

相場の基調が下落に変化すれば、買いは慎重にすべきだし、PERの高い株を保有するリスクが高くなる。だが、必ずしも悲観しているわけではない。株価が下がれば買いやすくなるし、個別に見れば、(指数の下落とは関係なく)買える株があるためだ。

以上は、わたしの個人的な考えにすぎず、わたしの意見が正しい、と言うつもりはない。この記事で書いたことが、的外れになる可能性もある。また、投資を推奨するものでもない。

投資は、(100%)自己の責任において行ってください。